※性的表現、喘ぎあり
『ストーカー』
ハセガワ リョウ:会社員 ストーカーに監禁される (28歳)
謎の男:30歳 ハセガワを監禁する (30歳)
男:ハセガワを探しているようだが…? (大体28~32歳)
【配役表】
ハセガワ リョウ:
謎の男:
男:
ハセガワ:目隠し、手錠、
どうしてこうなったのだろう
意識がぼんやり、はっきりしない状態で、
謎の男「おはよう、目が覚めた?」
ハセガワ:
ゴム製のそれは空気穴がついており、
ハセガワ「!?んむ、んんー!!んー!!」
謎の男「ああ、落ち着いて、落ち着いて、大丈夫だよ」
ハセガワ:男が近付いてくる気配を感じた
より一層頭が混乱する
ここはどこだ、こいつは誰だ、
ハセガワ「ふー、ふー、んー!」
謎の男「ああ、口のそれが気になるの?うーん…」
ハセガワ:
パチン、ベルトの外れる音がする
ヨダレとともにそれが口から出ると、新鮮な空気が肺に届く
ハセガワ「(震える深呼吸)」
謎の男「ああ、怖かったね、大丈夫かい?
ハセガワ「あんた…」
謎の男「これはギャグボールって言ってね?喋れなくしたり、
ハセガワ:暗闇の中で男の声だけが響く
猛烈な怒りが込み上げてきた
ハセガワ「…てめえ!!ふざけんじゃねぇ!!
(言い終わり、肩で息をする)
(少しの間)
謎の男「言いたいこと、それだけ?」
ハセガワ「はあ!?」
謎の男「じゃあ順番にこたえるね、
…僕は、ただのきみのストーカーだよ」
ハセガワ「…っ!?はあ!?」
謎の男「ストーカーだって
ずっと前から君のこと見つめてたんだ
だから会社帰りの君をさらってきた
そしてここに監禁してる
僕のものにするために、ね」
ハセガワ:嬉しそうな声色はまだ続ける
謎の男「いや、きみをここまで運ぶのに苦労したよ
マンガみたいにうまくいかないものだね
薬を後ろから嗅がせてもダメだったから結局みぞおちに一発入れち
痛くない?ごめんね」
ハセガワ:そう言われてから、
ハセガワ「…っ!そんなこたどうでもいい!ストーカー!?はあ!
謎の男「そんなの裸をみてるんだから百も承知だよ
僕はきみが好きなんだ、ずっとずっときみを見てきた
答えになってなかったかな?
ハセガワ「はあ!?ふざけ…」
謎の男「はい、名残惜しいけどおしゃべりはおしまい
またこれ、付けるね
舌を噛み切られちゃ困るから」
ハセガワ「まっ!んぐっ!」
謎の男「ふふ、真っ赤なギャグボール、似合ってるよ、
ハセガワ「ん、んぐ!んんん!」
謎の男「ははは、何言ってるか、わからないよ
…さて」
ハセガワ:男は俺にギャグボールとやらをはめたあと、
謎の男「確かここに…あ、あったあった」
ハセガワ:
ハセガワ「ん!?!」
謎の男「ああ、ごめんごめん、ローションだよ、気にしないで」
ハセガワ「んむぅ!?」
謎の男「ちょっと、違法の、ね」
ハセガワ:男がそう言った瞬間、
驚いていると、そんなのお構いなしに男は胸の、特に乳首に、
謎の男「きみにはここで感じるようになってほしいんだ
女の子みたいにね」
ハセガワ「っ…っ…!」
ハセガワ:
謎の男「ん?気持ちいい?こっちも半勃ちだよ」
ハセガワ:そう言ってグッと性器を握りこまれる
あまりのことに声も出なかった
そしてそこにもこれでもかと言う程それを塗りたくられ、
謎の男「ふうん、やっぱり海外製のものは効きが違うね、
ハセガワ「ん、ふぅ、んんんっ…」
ハセガワ:
謎の男「さて、そろそろイきなよ」
ハセガワ「!?んー!んんー!!ふぅっ」
ハセガワ:男の大きな手が俺の性器を包み込んで扱く。
謎の男「これからは僕がイけって言ったら、イくんだよ?いいね?
ハセガワ「んっんっ!ふ、う、んー!んーっ!」
謎の男「ほら…イけ」
ハセガワ「っーーー!!」
ハセガワ:耳元で囁かれた瞬間、
静寂がしばらくの間空間を支配した
謎の男「ふ、ふふふ、あはは!」
ハセガワ:男が突然笑い出す
謎の男「どこかも分からないところで、拘束されて、
ハセガワ:くつくつと笑う男に反論したかったが、
謎の男「おやすみ、ハセガワくん」
ハセガワ:最後に聞こえたのは、愛しさに満ちた声だった
男「ちくしょう!!」
男:居間のテーブルを両手でバンと叩く
かえってくるのは静寂のみだ
もうあいつが帰って来なくなって3日が経つ
会社も無断欠勤。ケータイは何度鳴らしても圏外
いったい何があったと言うんだ
男「ああ…事件に巻き込まれてないだろうな…頼む…
男:神様にもすがるような想いで手を組みあわせる
生まれてこの方神様なんて信じたことは無かったけれど、
米つぶがカビカピになるからと付けおいている弁当箱も、
いつものくせで作ってしまう弁当はそのまま生ゴミのゴミ箱行き
それ以外、変わったことなど何一つなかった
脱ぎ散らかした靴下、ワイシャツ、肌着
それらが点々とベッドサイドまで続いていて、
でもそれも三日前の話だ
三日前に見た、
男「無事で、いてくれ…」
ハセガワ「んぅ!んー!んー!」
ハセガワ:気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い
俺は今男にアナルの拡張だとかなんとかと言われ、
あれからどれくらい時間が経っただろうか
あの【違法ローション】を尻に突っ込まれ、
相変わらずギャグボールはつけっぱなし
舌を噛み切って死ぬことすらできない
地獄のような、時間だった
謎の男「んー?このあたり、かな?」
ハセガワ「ふぅ…ん!?ん!!んぅ!!」
ハセガワ:男がある一点を探り当てると、
なんだ、これは…?
謎の男「ああ、みつけた
ここは前立腺って言ってね、
くるみくらいの大きさで、
ハセガワ:
なんだ、前立腺…?Gスポット?
そんなの俺は知らない
尻で快感を得ている自分がひたすら恥ずかしくて、
謎の男「あれ?気持ちいい?そっかそっか、
やっぱりきみは変態だね」
ハセガワ「んう!!んー!!ふ、く、んん!!」
ハセガワ:違うと声をあげようとして、
悔しくて、涙がこぼれてきた
なんなんだ、この状況
謎の男「あれ?泣いてるの?そんなに気持ちいい?
それとも惨め?悔しい?」
ハセガワ:黙っていると男は尻穴を探る手をピタリととめ、
ハセガワ「っぷは…っ、あんた、なんな、ぁああ!」
ハセガワ:そしてまた前立腺とやらを刺激され、
泣きたくて、気持ちよくて、悔しくて、
俺の身体はこの男に支配されている
そのことだけは頭の片隅で理解していた
謎の男「そろそろきみの可愛い喘ぎ声か聞きたくなってね
いいなあ、やっぱり可愛いよ、きみ」
ハセガワ「やめ、やめっ、ああ、あっ!」
謎の男「やめないよ、ほら、前もいじってあげようね」
ハセガワ「!い、やだ!やだ!ああ!やめろ!んん!」
ハセガワ:尻穴をほじられながら、性器を扱かれる
あっという間に射精感は襲ってきた
ハセガワ「いやだ、こんな!こんなぁ!」
謎の男「いや、じゃなくて、いい、だろ?
こんなにグチャグチャにして…
ほら……イけ」
ハセガワ「あっ、くーーっ!!」
ハセガワ:呆気なく吐精した
しかも、男の命令通りに
プライドが、男としてのなにかが、
ハセガワ「ふ…く…っ!(泣く)あんた!なんなんだよ!」
ハセガワ:思わず涙をボロボロ零しながら叫んでしまう
ハセガワ「こんなことして!俺をこんな目にあわせて!
いったい、俺が何をしたって言うんだよお!(泣く)」
ハセガワ:惨めな気持ちのまま涙を流していると、
ハセガワ「っ!やめ!」
謎の男「ごめん」
ハセガワ「は…?」
謎の男「ごめんね」
ハセガワ:その声があまりに沈んでいて、泣きそうで、
ハセガワ「あ、謝ったってなあ!」
謎の男「こうしようか」
ハセガワ「はあ?」
謎の男「これからきみが僕の命令通りにイけたら、
なんでもだ
どうだい?」
ハセガワ「まだこんなこと続けんのかよ
あんた、もうとっくに犯罪者だぞ」
謎の男「わかってるよ、でも、この行為には意味があるんだ」
ハセガワ「意味、わかんね」
謎の男「分からなくていい、今は」
ハセガワ:うん、とも、
謎の男「強情だなあ、こんな状況でも折れない
それが僕のきみを好きなところなんだけどね」
ハセガワ「気色わりぃ」
謎の男「うん、ごめんね
さあ、質問をひとつ、どうぞ?」
(少し間をあけて)
ハセガワ「…名前」
謎の男「うん?」
ハセガワ「あんたの、名前だよ
…なんて呼べばいい」
謎の男「…それが質問?」
ハセガワ「わりいかよ!!」
謎の男「いやいや…!
えっと、そうだなあ
…僕のことはワタルと、呼んでくれ」
ハセガワ「わかったよ」
ワタル「…、ちょっと疲れたろ?今食事をとってくるから、
男「クソぉぉお!!!!」
男:リビングの花瓶を床に叩きつける
枯れた花たちが水とともに床に散らばる
ハセガワが消えてもう一週間
気が狂いそうな毎日だった
会社はハセガワを辞職扱いにした。
ハセガワの実家、近くの公園、よく飲みに行く居酒屋
だが、いつも足を棒にして帰ってくるだけだった
怖い
ハセガワがもうこの世からいなくなってしまったのではないかと思
男「ハセガワ…ハセガワ、ハセガワ、ハセガワっ!ハセガワ!!」
男:爪の先を噛みながらハセガワの名前を呼び続ける
俯いてしゃがみ込んだ
涙が溢れて止まらなかった
なあ、ハセガワ。どこに行ったんだよ
男「…?」
男:俯いた先、目線を少しずらせば、
少しずらせば取れそうだ
男「…ん」
男:手を伸ばして"それ"を掴む
思わず息を呑んだ
そして、"それ"を掴んだままハセガワの家を飛び出した
ハセガワ:ワタル
30歳
バーを営んでいること。店長らしい
趣味は酒を飲むこと
犬を二匹買っていて、犬種はそれぞれダックスと、パグ
結婚はしていないらしいこと
好きな食べ物は、ハンバーグだということ
俺が聞き出した情報のすべてだ
それだけ、
なぜ、射精と引替えにこんなどうでもいい話を、と自分でも思う
でも何故か、ここかどこなのかとか、助けを呼ぼうとか、
最近ではギャグボールも目隠しも取ってもらい、
目隠しを取られてはじめてわかった
むき出しのコンクリートに、防音設備。そしてステージや機材
地下のライブハウスなのだろうということが伺いしれた
ワタル「ハセガワくんは恋人はいないの?」
ハセガワ「いねえよ
まあ、いたってこんなに音信不通になってたら、
ワタル「じゃあ、御家族は?」
ハセガワ「いない」
ワタル「いない?」
ハセガワ「俺が小さい頃離婚して、
だから、家族の愛みたいなもん、俺は知らないし、
会社行って働いて飯食って好きな酒飲んで寝て、
ワタル「そう、だったんだ…」
ハセガワ「だからワタルが俺を好きだ好きだって言ってくるのも、
俺は愛とか、恋とか、ほんとによく、分かんねえんだ」
ワタル「…ハセガワくん…そんな愛に飢えた顔をするからきみは…
ハセガワ「?なんだよ」
ワタル「いや、なんでもない」
ハセガワ:毎日こうやって、いろいろな、他愛のない話をした
そして、いわゆる、性行為に近いこともした
なぜだろう、俺はこの男に情でもうつったというのか
多分そうなんだろう
今日もあいつが、ワタルがやってくる時間だ
もはや快楽を得る器官と化した尻穴が疼く
今日はなにをされるのだろうか
なにを話すのだろうか
と、重たい扉が開く
パッとそちらを見ると
男「…見つけた」
男:ハセガワだ。約十日ぶりのハセガワだ
嬉しくて、嬉しくて、涙がこぼれてきた
男「ああ!ああ!ハセガワ!ハセガワ!」
男:
男「ずっと!ずっとずっと探してたんだぞ!このバカ!
ケータイは通じない、会社には来ない、家に行ってもいない!
そしたらテレビボードの下からバーの名刺が出てきてピンと来たよ
そしたらビンゴだよ!」
男:俺は言いながらハセガワの拘束を解く
男「…ここの店長のお前を見る目がおかしかった
それで思い当たったんだ
本当に気づいてよかった」
男:にっと、笑いかける
男「さ、帰ろう!あいつが来る前に!」
男:グイッと手を引いたその時だった
(少し間をあけて)
ハセガワ「なあ、あんた…」
(少し間をあけて)
ハセガワ「あんた、誰だ…?」
(少し間をあけて)
男「は…?」
ワタル「(息を切らして飛び込む)ハセガワくん!!」
ハセガワ「ワタル…?」
ワタル「ハセガワくん!今すぐその男から離れるんだ!」
ハセガワ「は、え?は…?」
ワタル「僕はそいつから!
男「…誰が…ストーカーだよ…!
俺はこいつの…
こいつの、恋人だよ」
ハセガワ:訳が分からなかった
突然現れた男が自分を恋人だと言い張る
それを見てワタルはこいつがストーカーだと言い張る
だけどワタルは最初、「僕はただのきみのストーカーだよ」
何がどうなっているのかわからないまま、話は進む
男「俺は!毎日こいつの弁当を作ってポストに入れて!
なあ!?ハセガワ!!」
ハセガワ:ギョッとした
確かにここ二ヶ月ほど、
犯人はこいつだったのか
それでもなお自分は恋人だと言い張るこの男に背筋が凍った
そうだ、これじゃまるでこいつが…
ワタル「ストーカーだよ、ハセガワくん
ここ数ヶ月君を悩ませてた犯人はこいつだ」
男「ちげえっつってんだろ!俺とハセガワは恋人同士なんだよ!
俺は何度も何度もハセガワの寝顔を見てる!
ハセガワ:震えが止まらなかった
夜中に合鍵を使って忍び込み、俺にキスしてたって言うのか、
それで恋人同士だと勘違いしているのか
気持ちが悪い
純粋にそう思った
男「とにかく、ハセガワはお前みたいなストーカーには渡さない!
おい、帰ろうハセガワ」
ハセガワ「っ!やめろ!」
ハセガワ:
男「は…?やめろ…?」
ハセガワ:男の目が座ったのが分かった
男「何言ってんだよ…俺はお前の恋人で…
なのに…俺を振り払うのか…?」
ハセガワ:ゆらり、ゆらりとこちらに近づいてくる
恐怖しか感じなかった
男「そんなこと、ハセガワは言わない…」
ハセガワ「おい、落ち着け…」
男「さてはお前、あのストーカーに洗脳されたんだな…
ハセガワ「こ、こっち、来んな…」
男「これからもずうっと、二人で住もう…
ハセガワ「やめ、やめ…!
っ、ワタル…!」
ハセガワ:そう呟いて目を瞑った瞬間、
男「がっ…」
ハセガワ:男は、コンクリートの床に突っ伏していた
ハセガワ「へ…?」
ワタル「ったく、ハセガワくんは本当に、
ハセガワ:
ワタル「怖かった ?大丈夫?怪我はない?」
ハセガワ「あ、あ…」
ハセガワ:何も言えないでいると、
ワタル「今の今まで騙していてごめん
前にうちのバーに一度だけきたハセガワくんに一目惚れして、
俺もこいつとおんなじ、ストーカーだ
警察につき出すなり、なんなり、好きにしてくれ」
ハセガワ:頭を下げるワタル
複雑な気持ちだった
ワタル「性的な行為は俺が欲望を抑えきれなかった結果だ
強姦罪…になるのかな…?はは…本当にごめん
今すぐ警察に行こう
この男も引き渡さなきゃだしな」
ハセガワ:目を伏せたままこちらを見ないワタル
ハセガワ「…んなんだよ」
ワタル「え?」
ハセガワ「なんなんだよ!!!それ!!!」
ワタル「え!?」
ハセガワ:すさまじい怒りが込み上げてきた
ハセガワ「ふざけんなよって、何回言わせるんだよ!!
俺はこの十日間で身体を作りかえられちまった!!
それだけじゃない!!心もだ!!」
ワタル「こ、心もって?」
ハセガワ「うるせえ!!
ケツいじくり回したり、他愛のない話したり!!
あんたが罪悪感覚えてんの気付いてねえとでも思ったのかよ!!」
ワタル「っ!ご、ごめん!気持ち悪かったよね…」
ハセガワ「そうじゃねえから混乱してんだろ!!こんの!!
こんの変態ストーカー野郎!!」
(キスをする)
ワタル「ん!?!」
ハセガワ「…っ、確かに気持ち悪いし、やったことは許せえねよ
でもあんたは、この男から俺を守ってくれた
愛とか、恋とか、そういうの、なんとなく教えてくれた
…もう、理屈じゃねえんだよ…!!」
ワタル「ハセガワくん…」
ハセガワ「リョウだ」
ワタル「え?」
ハセガワ「リョウって呼べよ、ワタル」
ワタル「こんな、こんなこと…許されるのか…?
俺は、ただのストーカーで…」
ハセガワ「っだから!許すわけねえだろ!覚悟しとけよ!」
ワタル「え?…え?」
ワタル:三日後
付きまとってきた男を警察に突き出したリョウは、弁当箱や、
警察官も若干引いてはいたものの話を聞くうちに真剣な顔つきにな
だかリョウは示談に応じると言った
今後一切の関わりを断つと、
まったく、男らしい
ハセガワ「…タル…ワタル!聞いてんのか!」
ワタル「え!あ!ごめん、聞いてなかった!」
ハセガワ「ふざけんなよ!人が話してんのに!」
ワタル「ごめんごめん、だってそのはなし何回目?
飲みすぎで覚えてないでしょ
何杯飲んだと思ってるの」
ハセガワ「うるせーな!
えーと…ごお、ろく、なな、八杯目だ!」
ワタル「十杯目だよ
そんな強いカクテル呑んで、大丈夫なの?」
ハセガワ「だから言っただろ!許さねえって!」
ワタル:あの後、
ハセガワ「だから!ワタルの店の酒呑み尽くすまで、許さない!」
ワタル:その言葉は警察に行く気だった俺を唖然とさせた
ワタル「え、あの、それはどういう…」
ハセガワ「そのままの意味だよ!
ワタル、バーの店長なんだろ?
閉店したら俺にたらふく酒飲ませろ!いいか!
ワタル「警察に行かなくていいの…?」
ハセガワ「…こいつは突き出すさ、
でも…」
ワタル「…でも?」
ハセガワ「…お前は、ワタルは、いいんだよ…!
い、いいか!今度は俺がワタルを監禁してやる!
俺なしじゃいられない身体にしてやるからな!
ふ、はははは!!」
ワタル:リョウは豪快に笑った
その笑顔に、罪悪感がすっと薄まっていくのを感じた
もしかしたら、もしかしたら、リョウは俺のこと…
なんて思ってしまうくらいだった
ハセガワ「なあ、ワタル」
ワタル「ん?どうした?リョウ」
ハセガワ「男同士のセックスってさ、
ワタル「えっ!?は!?え!?」
ワタル:
ハセガワ「あー、いやらしいこと考えやがったな、
ワタル「う!うるさいな!
…そう、だよ
お尻に、性器を、いれるんだ」
ハセガワ「ふぅん…」
ワタル「な、なに?」
ハセガワ「なあ」
ワタル「だから、なに!」
ハセガワ「…したいか?」
ワタル「え?」
ハセガワ「だ!か!ら!俺と!セックス!
ワタル「っな!え、えっと…」
ハセガワ「っあー!もう!ったくまどるっこしい!」
ワタル:立ち上がって俺の胸倉を掴んだリョウは、
ハセガワ「来いよ、ストーカー
俺に本当の愛ってやつ、教えてくれよ」
ワタル「 リョウ…!」
ハセガワ「…そのためにこんなベロベロになってやったんだ、
ワタル:決して酒のせいではないだろうリョウの顔の火照りに、
ハセガワ「…いいか、ワタル
これからもストーカーみたいに、ずっと俺のそばを離れんなよな」
ワタル「っ、まったく…!
ああ…!わかったよ
…愛してるよ、リョウ」
〜Fin〜
2020.03.03 みたに